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キャラクターIPの効果検証|導入前後の比較とアンケート設計

企業キャラクターを掲示した展示スペースで、来場者の感想を聞き取る担当者のイラスト
3Bros.works JOURNAL CHARACTER / RESEARCH & EVALUATION
LOOK BEYOND THE NUMBERS

数字が変わった。
その理由まで、
確かめていますか。

キャラクターを導入した後、反応や問い合わせが増えた。 うれしい変化ですが、同時に広告やキャンペーンを実施していれば、 キャラクターだけの効果とは言い切れません。

効果検証では、何と何を比べるのか、誰に何を聞くのかを先に決めることが大切です。 この記事では、導入前後の比較条件とアンケートの設計例、 結果から次の改善を考える方法を紹介します。

キャラクターIPの効果検証は、問いを具体化する

「効果があったか」だけでは、何を調べればよいかが定まりません。 キャラクターを使う目的に合わせて、確かめたいことを一文にします。

RECOGNITION

覚えられているか

キャラクターを見た記憶があり、どの会社のものか分かるかを確かめます。

IMPRESSION

印象に変化があるか

企業に対する親しみやすさなど、狙っていた印象の変化を確認します。

UNDERSTANDING

説明が伝わったか

紹介したサービスの内容や利用手順を、受け手が理解できたかを確かめます。

検証する問いの例

「展示会で使用したキャラクターは覚えられているか。 さらに、キャラクターを見て出展企業を思い出せるか。」

前半はキャラクターの記憶、後半は企業との結びつきを調べています。 同じ指標にまとめず、別々に確認します。

目的別のKPI選びや月次レポートの基本は、 キャラクターIPの効果測定方法|目的別KPIとレポートの作り方 で整理しています。本記事では、その指標を比較・調査する際の設計に焦点を当てます。

導入前後の比較では、時期・対象・実施内容を記録する

比較を始める前に、キャラクターの使用開始日と、変更した場所を記録します。 同じ時期に行った広告、値引き、商品追加、サイト改修なども残してください。 後から「何が影響した可能性があるか」を確認する材料になります。

比較前にそろえる条件と残す記録
項目 そろえたい条件 違う場合に残すこと
期間 日数、曜日構成、営業日 連休、繁忙期、イベントなどの影響候補
対象者 新規・既存顧客、来場者などの対象条件 回答者の構成がどう変わったか
募集・配布方法 依頼する場所、声のかけ方、回答手段 SNS募集と店頭募集などの方法の違い
質問 文言、選択肢、順序、提示する情報 変更した箇所と変更理由
露出 掲載場所、広告量、配布量など キャラクター以外に増やした接点
集計 対象の回答、除外基準、割合の分母 未回答や重複をどう扱ったか

表は横にスクロールできます。

導入後の増加を、そのままキャラクターの効果としない

導入前後の比較は変化を把握する入口になりますが、 季節性や他の施策による影響を切り分けられない場合があります。 比較対象がない前後比較では、変化の原因を特定する根拠が弱くなることが、 英国政府の評価ガイダンスでも説明されています。

参考: GOV.UK:Quality in policy impact evaluation 。政策評価の一般的な比較設計を参考にしており、キャラクター施策の効果を示す研究ではありません。

比較対象を用意できる場合も、条件を確認します。
例えば、キャラクターあり・なしの説明資料を比較するなら、 本文や案内内容、見せる時間などをそろえ、対象者を無作為に振り分ける方法が考えられます。 結果を見てから都合のよい対象だけを選ばず、実施方法と確認項目を先に決めます。

一方、「キャラクターを見た人」と「見ていない人」を後から分けただけでは、 もともとの企業への関心の違いが残る可能性があります。 その差を、キャラクターによる変化と断定しないようにしましょう。

アンケートは、企業への印象とキャラクターの認知を分ける

質問は、答えてほしい内容を一つずつ、具体的な言葉で尋ねます。 時点間で比較する場合は、質問文や順序もそろえてください。 Pew Research Centerの調査設計ガイドでも、 質問の表現や順序が回答に影響することが説明されています。

参考: Pew Research Center:Writing Survey Questions

A.導入前後の「企業への印象」を調べる質問例

以下は、導入前と導入後に同じ条件で実施する調査のたたき台です。 調べたい会社名を示し、キャラクター画像を見せる前に回答してもらいます。 会社を知らない人に印象を無理に答えてもらわない設計にします。

質問例A:企業についての認知・印象
質問 回答形式の例 確認すること
この調査に回答する前から、[会社名]を知っていましたか? 事業内容まで知っていた/名前だけ知っていた/知らなかった/覚えていない 回答者が持っていた企業との接点
[会社名]に、どの程度親しみやすさを感じますか? とても感じる/やや感じる/どちらともいえない/あまり感じない/まったく感じない/判断できない 狙っている印象の評価。企業を知らなかった人は対象外として別集計
[会社名]について、印象に残っていることがあれば教えてください。 任意の自由記述 印象につながった具体的な接点や表現

「親しみやすく、信頼できると思いますか」のように二つの評価を一度に聞くと、 どちらへの回答か分からなくなります。 信頼感も必要なら、親しみやすさとは別の質問にしてください。

B.「キャラクターと企業の結びつき」を調べる質問例

こちらは、導入後の認知を確かめる別の調査例です。 会社名をヒントなしで思い出せるかを調べたい場合、 質問例Aと同じ回答者に続けて聞く方法は避けます。 先に会社名を示すと、答えの手がかりになるためです。

画像を使った質問の順序例

準備: 会社名やロゴを付けずに、対象のキャラクター画像を提示する。

質問1: この画像を見る前に、このキャラクターを見たことがありましたか?
回答:ある/ない/覚えていない

質問2: このキャラクターは、どの会社・ブランドのものだと思いますか?
回答:自由記述/分からない

質問3: 「見たことがある」と答えた方に伺います。どこで見ましたか?
回答:SNS/Webサイト/店舗/展示会・イベント/印刷物/その他/覚えていない (複数回答可)

調査のタイトルや会場の表示、募集文が会社名のヒントになる場合もあります。 そうした条件がある場合は、「ヒントのない認知」とは区別して記録します。

「見たことがある」と「好き」は、別の結果です。
初めて画像を見た人でも、好みの評価はできます。 画像提示後の好感度を、もともと知られていた割合として扱わないようにしてください。

説明の理解を調べる場合は、内容を答えてもらう

「説明が分かりやすかったですか」という感想だけでは、 内容を正しく理解したかまでは分かりません。 利用手順を説明したなら、「最初に行うことは何ですか」など、 説明内容に対応する確認問題を別に用意する方法があります。

その場合は、正解と採点方法を調査前に決めます。 キャラクターあり・なしを比較するなら、説明する情報と問題の難しさもそろえてください。

本文の質問例は、本記事で作成した設計のたたき台です。 妥当性が検証された尺度ではありません。対象者に試して、意味が伝わるかを確認してから使ってください。

集計は、回答人数・対象者・割合をセットで読む

集計では、調査を依頼した人数、回答した人数、各質問の集計対象人数を区別します。 「判断できない」や未回答を除く場合は、その数と除外のルールも残しましょう。

割合の差は「ポイント」で示す

架空の集計例:親しみやすさの肯定回答
項目 導入前 導入後
設問の集計対象人数 100人 120人
「とても・やや感じる」の合計 40人 60人
肯定回答の割合 40% 50%
観測された割合の差 導入後が10ポイント高い

計算方法を示す架空の数値です。各回で企業を知っている対象者を集計し、 肯定以外の回答には「判断できない」も含めると仮定しています。 人数は推奨サンプル数ではなく、統計的な有意差を示すものでもありません。

この例では「導入後の調査で肯定回答の割合が10ポイント高かった」と報告できます。 ただし、回答者の構成や同時期の施策を確認せず、 「キャラクターによって親しみやすさが10ポイント上がった」とは結論づけられません。

人数を増やすことと、偏りを減らすことは別に考える

公式SNSのフォロワーだけに回答を依頼した結果は、 その回答者の傾向として扱います。まだ企業を知らない人も含む市場全体へ、 そのまま広げて説明しないようにしましょう。

また、同じ人を追跡した調査と、各回で別の人に回答してもらった調査では、読み方が変わります。 同じ人を追跡した場合は、両方に回答した人数と、途中で回答しなくなった人の存在も確認してください。

少数の回答でも、次に確かめる疑問は見つけられます。
「会社名が分かりにくい」「何のサービスか伝わらない」といった声は、 表示や説明を点検するきっかけになります。 ただし、その声がどれくらい広く当てはまるかは、別に確かめる必要があります。

結果は「分かったこと」と「次に調べること」に分ける

数字が高い・低いだけでは、改善する場所が決まりません。 観測した結果から考えられる仮説を挙げ、確認する順番を決めます。

結果と追加確認のつなげ方
観測した結果の例 考えられる仮説 次に確認すること
キャラクターは覚えられているが、会社名が出てこない 企業との関連を伝える表示が弱い可能性 会社名・ロゴ・紹介文との配置や接触場面
見たことがある人が少ない 想定した対象者に届いていない可能性 掲載場所、配布実績、広告の対象、調査対象との一致
好感度は高いが、説明の正答率が変わらない 好ましさと、説明を助ける役割が結びついていない可能性 説明内容、配置、キャラクターの役割、問題の難しさ
一部の回答者で評価が低い 対象者によって受け取り方が異なる可能性 該当する人数、接点、自由記述。少数の差を過大評価しない

表は判断の例であり、原因を確定するものではありません。 条件や質問の問題でも結果は変わるため、デザイン変更の前に調査方法を確認します。

検証結果を残す記入例

観測:画像を見た記憶がある回答者の中にも、企業名を答えられない人がいた。

未確認:どの掲載物を見た人に、その傾向が多いかは分からない。

次の確認:主な掲載物を集め、企業名とキャラクターが一緒に伝わる構成か確認する。

対応:確認後に修正対象を絞り、変更日と内容を記録して次回調査につなげる。

複数の部署や制作先がキャラクターを使う場合は、調査結果と改善内容を共有する担当者も決めましょう。 管理体制については、 キャラクターIP事務局の役割・業務内容 で紹介しています。

実施前チェックと、よくある質問

  • 検証したい問いを具体的に決めた
  • 比較する期間と対象者の条件を記録した
  • 広告やキャンペーンなど、同時期の変更を記録した
  • 企業への印象と、キャラクターの認知を区別した
  • 質問文・選択肢・順序を事前に確認した
  • 会社名や画像を見せるタイミングを決めた
  • 分からない人が無理に答えなくてよい選択肢を用意した
  • 集計の分母と、未回答・重複の扱いを決めた
  • 調査の目的と回答の利用方法を案内した
  • 結果を確認する担当者と、次の判断時期を決めた

Q. 導入前のデータを取っていません。今からでも調べられますか?

現在の認知や印象を調べ、今後の比較の起点にできます。 過去の状態が分からない場合は、導入前後の改善としては報告せず、 「今回の調査時点で確認できたこと」として整理してください。

Q. 何人の回答があれば十分ですか?

調べたい差の大きさ、対象者、募集方法、必要な精度によって変わります。 一律に何人なら十分とはいえません。 少数の聞き取りは改善案の発見に使い、効果を統計的に判断する調査は、 必要人数を含めて実施前に設計しましょう。

Q. 「キャラクターを見て問い合わせました」という回答は成果ですか?

本人が認識する接点として記録できます。 ただし、その回答だけで「キャラクターがなければ発生しなかった問い合わせ」とまでは判断できません。 接点の確認と、施策による純増の検証を分けて扱ってください。

Q. 親しみやすさが上がれば成功といえますか?

親しみやすさの向上を目的にしていたか、比較条件が適切かを確認します。 事業への貢献も見たい場合は、説明の理解や相談行動などを別に確認します。 好感度だけから売上への効果を断定しないようにしましょう。

Q. どのくらいの間隔で調査すればよいですか?

接点の頻度と施策の期間に合わせて決めます。 単発イベントと、継続して使用するWebサイトでは、評価するタイミングが異なります。 結果を見ながら都合よく期間を変えるのではなく、実施前に確認時期を決めておきましょう。

TURN FINDINGS INTO ACTION

キャラクターの反応を、
次の活用につなげる。

何を確かめたいのか、今どこで使っているのか。 目的と現状を整理するところから、キャラクター活用についてご相談いただけます。

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参考情報

本文の質問・集計・判断例は、企業キャラクターの検証に合わせて作成した説明用の例です。 各参考資料が、特定のキャラクター施策の効果を保証するものではありません。