企業SNSのアカウント設計とは?目的・ターゲット・KPIの決め方
投稿を始める前に、成果につながる運用の土台をつくる
目的・届けたい相手・発信テーマ・KPI・社内ルールを整理し、担当者が迷わず運用できる状態をつくります。
上長からSNS担当に任命され、「まずアカウントを作って投稿を始めればよい」と考えていませんか。
目的やターゲットが決まっていない状態で投稿を始めると、発信内容が毎回変わり、フォロワーが増えても問い合わせや採用応募につながらないことがあります。また、担当者が交代したときに運用方針が分からなくなる問題も起こります。
SNSアカウント設計とは、投稿前に「誰へ・何を・何のために届けるか」を決める作業です。本記事では、初めて企業SNSを担当する方でも進められるように、アカウント設計の手順を解説します。
企業SNSの設計は、目的、ターゲット、利用媒体、提供価値、投稿テーマ、KPI、運用体制の順に整理します。デザインや投稿頻度から決めるのではなく、事業上の目的から逆算することが重要です。
SNSアカウント設計が必要な理由
- 投稿内容に一貫性が生まれる
- 誰に向けた発信か社内で共有できる
- 「いいね」以外の成果を判断できる
- 投稿ネタを考えやすくなる
- 担当者の交代や外注時に引き継ぎやすい
アカウント設計は、立派な資料を作ることが目的ではありません。日々の投稿や判断に迷わないための共通ルールを作ることが目的です。
企業SNSのアカウント設計7ステップ
1.SNS運用の目的を決める
まず、SNSを使って事業上の何を改善したいかを決めます。「若い人に知ってもらう」のような曖昧な表現ではなく、認知拡大、Webサイトへの送客、問い合わせ、店舗への来店、採用応募、既存顧客との関係づくりなどから優先順位を付けます。
認知、販売、採用を同時に追うと、投稿内容も成果指標も曖昧になります。最優先の目的を1つ決め、必要に応じて副目的を設定しましょう。
2.届けたい相手を具体化する
年齢や性別だけではなく、仕事、生活状況、抱えている悩み、情報収集の方法、商品を選ぶときの不安まで考えます。
たとえば法人向けサービスなら、「中小企業のWeb担当者」だけでなく、「上長から担当を任されたが、専門知識がなく、何から始めるべきか分からない人」まで具体化すると、投稿内容や言葉の難しさを判断しやすくなります。
3.利用するSNSを選ぶ
流行しているSNSではなく、ターゲットが利用し、自社が継続して素材を用意できる媒体を選びます。
| 確認項目 | 判断する内容 |
|---|---|
| ターゲット | 届けたい人が利用しているか |
| 投稿素材 | 写真・動画・文章を継続して準備できるか |
| 社内体制 | 撮影・確認・返信を担当できるか |
| 目的 | 媒体の特徴が目的と合っているか |
最初から複数のSNSを運用すると負担が増えます。まず1つで投稿と改善の流れを作り、必要に応じて広げる方が継続しやすくなります。
4.フォローする理由を決める
ユーザーがアカウントをフォローすると、どのような情報やメリットを得られるのかを言葉にします。
- 専門知識を初心者向けに分かりやすく学べる
- 新商品やキャンペーン情報を早く知ることができる
- 社員や職場の雰囲気が分かる
- 商品を活用する具体的な方法が分かる
5.投稿テーマを3~5種類に分ける
投稿内容を毎回ゼロから考えないよう、テーマを分類します。たとえばWeb制作会社なら、「初心者向けノウハウ」「制作事例」「担当者の悩みへの回答」「社員・会社紹介」「サービス案内」などに分けられます。
各テーマの投稿割合も決めておくと、宣伝ばかりになることを防げます。
6.目的に合うKPIを設定する
フォロワー数だけでなく、目的に近い数字を確認します。MetaのInstagramインサイトでは、リーチしたアカウントやコンテンツへの反応などを確認できます。
| 目的 | 確認するKPI例 |
|---|---|
| 認知 | リーチ、表示、プロフィール閲覧 |
| 興味・検討 | 保存、シェア、リンククリック |
| 問い合わせ・販売 | 問い合わせ、購入、予約 |
| 採用 | 採用ページクリック、説明会申込、応募 |
7.運用ルールと体制を決める
投稿担当、素材提供者、確認者、最終承認者を決めます。あわせて、投稿頻度、確認期限、コメント・DM対応、削除基準、緊急時の連絡先、退職・異動時の権限変更を文書化します。
アカウントは会社が管理できるメールアドレスで登録し、利用できる場合は役割別の権限を付与します。IPAも不正ログイン対策として、長く複雑で使い回さないパスワードと多要素認証を推奨しています。
アカウント設計シートに記載する項目
- SNS運用の最優先目的
- 届けたいターゲット
- 利用するSNSと選定理由
- フォローするメリット
- 投稿テーマと割合
- 文章の口調と使用しない表現
- 写真・デザインの基準
- 投稿頻度
- KPIと確認頻度
- 担当者・確認者・緊急連絡先
Instagramに絞った設計方法は「企業Instagramのアカウント設計」、運用を外部へ依頼する場合の注意点は「SNS運用を外注するデメリット」も参考にしてください。
まとめ:担当者が迷わない判断基準を作る
企業SNSのアカウント設計では、目的、ターゲット、媒体、提供価値、投稿テーマ、KPI、運用体制を順番に整理します。投稿の見た目や頻度を決める前に、何のために誰へ届けるのかを明確にしましょう。
設計内容は運用開始後も固定ではありません。月ごとの数値やユーザーの反応を確認し、投稿テーマや割合を改善していくことが大切です。
参考情報・引用元
- Meta Business Help Center「About Instagram Insights」
- Instagram for Business「Get your business started on Instagram」
- IPA「不正ログイン対策特集ページ」
※各SNSの機能、指標、権限設定は変更される場合があります。運用時は各サービスの最新情報をご確認ください。